Top / Blog / 2023-03-05

梅の花に想う

万葉集から
『 我が園に 梅の花散る ひさかたの 天より雪の 流れくるかも 』
                      大伴旅人(おおとものたびと)

意味:私の庭に梅の花が散っている。空のかなたから雪が流れてくるように。

「ひさかたの」は、天にかかる枕詞なんて堅苦しい説明はさておき、白梅が舞い散る様子を、流れるように空から降る雪に見立てている。桜は吹雪になりうるが、梅は流れる雪となる。梅にはどこか物憂げなところがあるようだ。

受験が終わり、自然に目を向けることができるほんの束の間。一筋の流れる雪は、私の心の奥に消えていった。

さて、旅人はどんな想いで散りゆく白梅を眺めていたのだろうか。